- 特集
- 〔半村さんのコンプレックス〕 ―清水義範の「半村良クロニクル」(29)
〔半村さんのコンプレックス〕 ―清水義範の「半村良クロニクル」(29)
書きにくいことも少しは書かなきゃいけない。半村さんは学歴のことをどう受け止めていただろう。半村さんの卒業した両国高校は優秀な名門校で、卒業生のほとんどが大学に進学した。なのに半村さんだけは家庭の事情でそれをあきらめたのだ。ある時私が「それ卒論のテーマでした」と言ったら、「おれ、卒論なんか書いたことねえもん」と言われてヒヤリとしたことがある。また別の時には、「大学へ行って歴史をやりたかったな」ときいたこともある。半村さんはそんなコンプレックスから、繁栄を嫌い、上昇志向を軽蔑する人格になったのかもしれない。誰もが上をめざすから、この世は不幸でいっぱいになるんじゃねえか、というような。その思想は筋金入りだった。
清水義範の「半村良クロニクル」
- あれから8年・・・・
- 最初の印象
- 「石の血脈」にびっくり
- 影響を受けたことば
- 半村さんの粋な生き方
- 節目に読みたい物語 5冊
- めしのくい方
- 酒の飲み方
- 世の中を見る目(1)
- 世の中を見る目(2)
- ペンネームの由来
- 半文居と苺山人
- まだ初々しかった頃(1)
- まだ初々しかった頃(2)
- 直木賞のとき(1)
- 直木賞のとき(2)
- イーデス・ハンソンさん
- 直木賞のとき(3)
- 新宿のころ
- もらった手紙
- SFコンテスト落選(1)
- SFコンテスト落選(2)
- 吉川英治新人賞のこと(1)
- 吉川英治新人賞のこと(2)
- 半村さんと音楽(1)
- 半村さんと音楽(2)
- 半村さんのファッション
- 半村さんの読書
- 半村さんのコンプレックス
- 半村さんの風情