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〔吉川英治新人賞のこと(1)〕 ―清水義範の「半村良クロニクル」(23)

私が作家になれたことを、半村さんは喜んでくれたなあ。10年ももたもたしているのを横で見ていたからだろうね。

でも、こんなこともあった。景山民夫さんが吉川英治新人賞をとったので、私はお祝いのつもりでパーティーに出たのだ。するとそこに選考委員でもある半村さんがいて、私の顔をみるなりこう言った。「きみのは、まだ未熟ですのでいいですって、おれが取り下げちゃった」
なんと、その頃あの賞は候補者が未発表だったので知らなかったのだが、わたしの「蕎麦ときしめん」も候補だったのだ。師匠が弟子を落としちゃったのだ。この話はつづく。

清水義範

1947年愛知県名古屋市生まれ。中学時代からSFファンで、半村良氏の面識を得て上京する。1988年「国語入試問題必勝法」で吉川英治文学新人賞受賞。近作は「夫婦で行くイスラムの国々」や西原理恵子と共著(イラスト)の「学校よりおもしろい社会」など多数。
ファンサイトは「永遠の清水義範

戦国自衛隊/G.I.SAMURAI

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